漫画ひととせ ― 漫画紹介ブログ

心動かされる超おすすめ漫画 紹介します!

漫画ひととせ

少年少女の熱血ファッション漫画【ランウェイで笑って/猪ノ谷言葉】感想

ファッションデザイナーを志望する少年と、低身長ながらもトップモデルを夢見る少女が目指すのはパリコレのランウェイ―⁉ 猪ノ谷言葉さんの漫画「ランウェイで笑って」のあらすじと感想をご紹介します。

 

【期間限定 無料】ランウェイで笑って(1)

 

 

 

 

広告

 

あらすじ

モデル事務所「ミルネージュ」の社長令嬢・藤戸千雪(ふじと ちゆき)の夢は「パリ・コレ」モデルになること。しかし、モデルとして致命的なくらい身長に恵まれず、事務所のオーディションを突破できずにいました。

パリ・コレクションに出演しているモデルの平均身長は180cm。パリコレを目指すのであれば最低でも175cmは欲しいところです。子どもの頃は順調に身長が伸び、小学生で158cmに達していた千雪でしたが、それ以降は1cmも伸びず……。

それでも諦めない、と自分に言い聞かせて励む姿は見ていて痛々しいほど。千雪のお父さんが経営する事務所に所属し、千雪の憧れの存在の雫(しずく)は「叶わない夢を追い続けるほど辛いことはない」ことを知っているため、早く諦めさせようと千雪にキツく当たります。
 

ランウェイで笑って 2巻

 

そんなとき、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人(つむら いくと)がファッションデザイナーを志望していることを知り、オーディションに合格するために「自分に似合う服」の制作を育人に依頼。そして、育人が作った服を着て再びオーディションに臨み、契約を勝ち取ることに成功します。

何度「諦めろ」と言われても折れず、一途に夢を追って走る2人の物語の結末は―⁉

 

感想 

千雪の夢は「父親の事務所でパリコレに出ること」

千雪の夢はただのパリコレモデルではなく、父親が設立したモデル事務所「ミルネージュ」の所属モデルとしてパリ・コレクションに出演して活躍することです「ミルネージュ」とはフランス語で「千の雪」を意味し、千雪の父親が人生で一番大切な「千雪」の名前にちなんで命名したことが1話のエピソードにつづられています。だからこそ「ミルネージュ」へのこだわりが強いのです。身長以外は完璧なので、自分でどうにもならない部分で断られるのは努力家な千雪にとってとても辛いことだと想像がつきます。

千雪が何度突き放されても諦めずに夢を追いかけるのは、何を言われてもびくともしない鋼の心臓を持っているからではなく、無理だと認めることでこれまで頑張ってきた自分とこの先自分の思い描く自分の夢を否定することになるからかもしれません。それが怖くて「大丈夫だ」と自分自身に思い込ませて考えないようにしているのではないか、と私は思いました。

 

同じ葛藤を共有する育人と千雪

この物語の主人公は育人です。育人は千雪と真逆で夢を自分の中に押し殺し、最初から諦めているかのような言動をします。彼の家は貧しいけどお母さんも妹たちもみんな優しくて家族思いな人たちなので、育人がデザイナーになりたいと言えば誰一人反対することはないでしょう。でも、育人と同じでみんな自分を犠牲にしてでも家族の幸せを優先してしまうことは育人自身が一番知っていて、だからこそ本当の気持ちを言い出せずにいます。

 

ランウェイで笑って 6巻

 

そんな育人の背中を押してくれたのが千雪なのです。遠慮がちで控えめな育人と自分の気持ちを正直に表に出す千雪。まるで正反対の二人ですが、根っこに持つ頑固さと諦めの悪さは似た者同士で、だからこそ補い合える存在でもあります。

 

個人に寄り添う服作り

この作品のタイトルは「ランウェイで笑って」です。しかし、通常モデルがランウェイを歩く際に笑うことはありません。どちらかというと我を殺してクセのないウォーキングをする様子が浮かぶかと思います。笑顔の方が素敵なのになーと思ってしまいますよね。でも、その「素敵」の対象はモデル。服の魅力を最大限に引き出すにはモデルの個性は邪魔になってしまうのです。

 

ランウェイで笑って 17巻

 

ランウェイで笑う、という言葉はファッション業界にとって「型にはまらない」「常識をくつがえす」と言えるくらい斬新なこと。作中には育人のライバルとして様々な天才デザイナーが登場しますが、彼らになくて育人だけが持っている武器は着る人の人物像からその人が一番輝けるデザインを作り出せること。それは第一話から最終話まで一貫して育人の信条として掲げられています。

ただ斬新なデザインを押し付けるのではなく「着た人に笑顔になってほしい」と願う個人に寄り添ったデザインが育人の良さで、多くの人を惹きつける魅力となっています。

 

育人を取り囲む親しみ深いキャラクターたち

育人や千雪の他にもモデルとデザイナーの二択に悩まされる女の子や抱きしめるだけで身体のサイズを測定できてしまう天才デザイナーなど挙げればキリがないほどクセの強いキャラクターが大勢登場します。

 

ランウェイで笑って 19巻

 

頑固で信念の強い人物が多めですが、みんな等しく弱さもあり読んでいると同情したり応援したくなります。審査員が優劣をつける勝負の世界なので誰かが勝者となれば、他は敗者になってしまうのが世知辛いところ。個人的には千雪のお父さんのストーリーが苦しくて辛かった分、あとあと涙が出るほど胸打たれました。

 

合わせて読みたいマンガ

『服を着るならこんなふうに』― 漫画:縞野やえ/企画協力:MB

服を着るならこんなふうに1巻
おしゃれに無関心だった青年が妹の教えでファッションを学び楽しめるようになっていくお話。パリコレに出るような一流デザイナーが作った流行がどのような流れで一般流通するのかわかりやすく説明してくれるシーンがあり、普段自分が着ている服のルーツも同じと思うとファッション業界がグッと身近に感じられます

button

Paradise Kiss』―矢沢あい

Paradise Kiss 1巻
服飾系の学校に通うデザイナー見習いとそんな彼らにスカウトされたショーモデルのお話。まったくおしゃれに興味のなかった女の子がどんどんキラキラになっていきます。ファッションは服だけでなくメイクや髪型も含めた総合芸術なのだと気付かされます。

button

『フランス人は10着しか服を持たない ファッション&ビューティ編』―画:村田順子/原作:ジェニファー・L・スコット

フランス人は10着しか服を持たない コミック版 ファッション&ビューティ 編
パリに住む貴族の末裔の家庭にホームステイするお話。とにかく怪獣は怖いものなのだ‼と教えてくれるパニックホラー映画のような作品です。特別な時だけじゃなく毎日きちんとした装いをしてだらしない格好はしない。フランス人の根本的な美意識を学べる漫画です。

button

 

まとめ

今回ご紹介したのは猪ノ谷言葉さんの漫画「ランウェイで笑って」でした。全22巻で、すでに完結済み。「週刊少年マガジン」にて2017年5月〜2021年7月にかけて連載されていました。2021年8月時点でシリーズ累計発行部数は370万部を突破。アニメ化もしており、2021年1〜3月に放送されました。

受賞歴

ランウェイで笑って 8巻


ファッションという華やかなテーマとは裏腹に、本来なら叶うはずのない夢を自分の力や仲間との絆で這いつくばってでも成し遂げていく熱血的なストーリー展開が魅力です。また、育人をめぐる恋模様も見逃せません!絆の結びつきがより複雑な関係性へと発展していくため、育人とヒロインたちとのやりとりに目が離せないのもこの作品の見どころです。

アニメ版も漫画ではできないような映像ならではの演出表現があり見ごたえのある作品になっているので、そちらも合わせてオススメしたいです。

 

button

  ↑ 試し読み ↑

初回ログインの方限定!今なら6回まで使える50%OFFクーポンプレゼント!

 

漫画感想一覧 / おすすめまとめ / 雑記 / ホーム