短命な神様×首輪を付けた従者のBL漫画【テオ-THEO-/あおのなち】見どころ&試し読み
今回ご紹介する漫画は、中国の神様とその従者の少年のお話。
思い合うほど寿命が削れ、ともに歩む時間を失っていく儚いストーリーと、四季を通じて描かれるふたりだけのゆるやかな時間は切なくもあたたかい内容となっています。
人外との恋愛、主従関係がお好きな方にぜひおすすめしたい1冊です。
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あらすじ
この国には、魃(バツ)と呼ばれる神様が存在する。
少年テオが仕えるのは、ひときわ美しい魃・レイ。血筋によって定められた主従関係だったが、次第に恋心を抱くようになっていく。
レイの熱い身体に触れることも、心地よく感じるようになった。テオのそばにいたいと思う気持ちも日増しに強くなる。
しかし、魃は人間の数倍の速さで歳を取る。ゆえにレイも短命で、必ずテオより先に寿命を迎えるのだという――。
これは移ろいゆく四季のなかでふたりの永遠を紡ぐ御伽噺。
作品の見どころ
中国神話にも登場する神・魃(バツ)の存在
魃(バツ)とは中国神話の神のことで、ひでりがみとも読むそう。
文献には女神としてのバツ、獣方のバツがいて、この作品でのバツは毛むくじゃらでモノアイ、先祖が人間の女との混血で人体実験をしていたので後者のイメージが近い。
作中では短命で20~30年で寿命がくる、とあります。しかも人間と交わるとパチパチと燃えるような苦しみをともない老化が進んでしまう。
テオが仕えるレイはバツと人間のハーフなので、本来のバツの寿命よりは多少長い可能性も。それでもテオと交わることで削れてくのだと思うと悲しくなります。
このお話の中でバツは大暴風雨から人々を救いました。しかし、「ひでりがみ」と言うくらいですから、その性質で酷い日照りを起こし追放されてしまいます。神様なのに悲しい存在ですよね…。
登場人物は2人だけ⁉なのに見飽きない作品作り
この作品にはバツの子孫であるレイと、バツに罪滅ぼしする一族の少年・テオしか登場しません。舞台も屋敷でのみ展開されていきます。
そんな少ないリソースにも関わらず見飽きないのが凄い。それはひとえに作者さんがとても丁寧に物語をつづっているからこそだと思います。
四季が表すふたりがともに過ごした時間
この漫画はテオとレイを中心に四季が巡る様子を描いたお話。春夏秋冬になぞらえた4話構成で時間の経過が表現されています。
夏は暑さでしっとりとした肌の質感が伝わる汗の描写、そんな中で料理し熱に当てられボーッとしてしまう、などキャラの状態や体調が見て取れる。冬は寒さで毛皮を手繰り寄せたり。
同じ光景の屋敷が常に違った場所に見えてくるのだから不思議です。
作品情報
- 作品名:テオ-THEO-
- 作者名:あおのなち
- 出版社:一迅社
- 掲載誌:gateau
- 発売日:2017年12月15日
- 既刊数:5巻(連載中)
ドラマCD
BLCDコレクション テオ-THEO-
発売日:2018年12月21日
キャスト:テオ/斉藤壮馬、レイ/興津和幸
合わせて読みたいマンガ
『テオ-THEO- 小冊子』―あおのなち
同じ作品のおまけで、内容はアニメイト限定付録小冊子と同じものになります。
電子書籍限定。
『テオ-THEO- 番外編』―あおのなち
同じ作品のおまけで、ドラマCD化記念に雑誌にて描き下ろされた番外編『おでかけ』『熱』と同じものになります。
電子書籍限定。
『きみが死ぬまで恋をしたい』―あおのなち
同じ作者さんの百合漫画で、身寄りのない子どもを兵器として育てる学校に通う少女たちのお話です。
キャラクターの内面を描くのうまくとても魅力的。百合とか関係なく美しく儚い物語には惹かれるものがあります。
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まとめ
今回ご紹介したのはあおのなちさんの漫画「テオ-THEO-」でした。
作者さんいわく、最初は「Gift(ギフト)」というタイトルを考えていたそうです。ギフトには贈り物という意味の他に「毒」という意味もありまして。
テオがレイに与えたものは良いものばかりじゃありません。
命が削れたことで寿命が縮み、テオといたいと生への執着を芽生えさせました。さらに、寂しさの感情を与えられたゆえに苦しむことにもなります。
それでも一緒にいて、また来年のこの季節も一緒に過ごそうねと最後のその日が来るまで約束し続けるのだろう、と思うと寂しさを覚えます。
だからこそ四季を丁寧に描いたんだろうな、という作者さんの意図も見えてた気がしました。
複雑な気持ちでいっぱいになる尊い作品でした。
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