思春期の男の娘の三角関係「ぼくらのへんたい」あらすじと感想【ネタバレあり】
女装コミュニティで知り合った女装男子たち。3人は互いへの恋愛感情を意識するようになり「男の娘×男の娘×男の娘」の三角関係が生まれる―。
今回は私のおすすめ漫画「ぼくらのへんたい」をご紹介します。
「ぼくらのへんたい」はふみふみこさん初の長編作品です。「COMICリュウ」にて2012年〜2016年まで連載。コミックスは全10巻で完結しています。
同性愛やトランスジェンダーなどセクシャルマイノリティなキャラクターが多数登場し、男の子の姿と女の子の姿、どちらが本当の自分なのかを一緒に考えさせられたり、禁断の世界を覗き見しているようなドキドキ感もあったりと目が離せません。
そんな「ぼくらのへんたい」のあらすじや見どころを中心に、作品の魅力についてご紹介したいと思います。
<スポンサーリンク>
「ぼくらのへんたい」漫画作品紹介
女装コミュニティで知り合いオフ会した3人の中学生男子たちが、さまざまなコンプレックスと直面し傷つけ合いながらも前へ進んでいく、といった感じの青春恋愛漫画。
作者のふみふみこさんは「性のない状態」への憧れから「性をなくしたい」といったテーマの作品を多く手掛けており、本作もその想いがしっかりと詰め込まれています。
<作品を表すキーワード>
LGBT/男の娘/女装/三角関係
作品情報
「ぼくらのへんたい」あらすじ
主人公は女装癖のある3人の中学生男子。
純粋に女の子になりたい、まりか=青木裕太。死んだ姉の身代わりとして母親を慰めるために女装する、ユイ=木島亮介。恋した先輩に求められるままに女装を続ける、パロウ=田村修。
それぞれに傷つき、悩み、胸ときめかせながら、思春期の日々を懸命に生きている。そんな3人が出会ってしまったとき、物語は動き始める――…。
思春期のハートを抱えたすべての皆様にお届けする、性別を超えた愛の物語。
「ぼくらのへんたい」見どころ
冒頭からどんどん引き込まれるストーリー展開
LGBTがテーマの作品と聞くとなんだかとっつきにくい印象を持つ人もいるかもしれませんが、この作品のうまいところは“初めてのオフ会”から物語が始まるところです。
ハンドルネームしか知らないであろう初対面の相手と「はじめまして」と照れくさく挨拶する。そんな誰もが一度くらいは体験したことのあるようなシーンを見ていると、一瞬で彼らを身近な存在に感じる。
そして絶妙な具合に確信を避けつつ何気ない会話が進んだあとに「なぜ女装しているのか」という質問が出てハッとする。そういえばこの子たち、みんな男の娘だった‼と。この最初のちょっとした会話だけですでに心を掴まれてしまうこと間違いなし。
それぞれのコンプレックスや過去が語られてゆき、それを知ったうえであらためて物語がスタートする。1巻で序章が終わり、2巻以降が本番といった印象を受けました。ここまで読むともう続きが気になって仕方がない気持ちでいっぱいに。
どんどんと引き込まれるくらい魅力的なストーリー展開の作品です。
性別で役割を割り振られないキャラクターたち
この作品に登場するキャラクターたちはジェンダーフリーな子が多い。いわゆる性別によって役割を決められたステレオタイプがいないというか。そこには作者の「性をなくしたい」という思いが反映されているのかもしれません。
男の子でもヒロインになれるし、性別上は男女の幼なじみでも変に恋愛対象になって意識したりもしない。この子は男だから、女だからこうしてるんだ、じゃなくてこの子だからこうするんだと純粋に見れるのが魅力だと思いました。
キャラクターの心の動きに集中できる画作り
比較的背景はシンプルで派手な演出もありません。だからこそ、キャラクターの小さな変化にもすぐ気がつけたり自然と表情に目がいくような絵作りになっています。
セリフも多くなくてすらすら入ってくるし、セリフもナレーションもなにもないコマでも影ひとつで心情を表現されていたり、本当に必要な情報だけ選んだかのようなシンプルさが奥深さを出しています。
それでいて雲の流れ、髪がなびく様子から作品の中に吹く風を感じられるところがとても好きです。
複雑に絡み合う恋愛模様に目が離せない!
メインキャラの三角関係からはじまり、それぞれのキャラを好きになる子がいて気持ちの方向が合わなかったりと、これもストーリー展開と重なる点ではあるのですがとにかく目が離せません…!
もし読むならまず1巻を読んでみて、ハマれば全巻セットをそろえてから読み始めたほうが後悔せずに済むかも。それくらい先が気になる作品です。
<スポンサーリンク>
「ぼくらのへんたい」総評
表紙の雰囲気が気になり読んだのですが、見事クリーンヒットした作品でした!
それぞれ自分の性別に対してコンプレックスや問題を抱えていて、だからこそ相手を放っておけなかったり嫌悪感を持ってしまったり。もし同じような境遇で悩んでいる人がいたらこの漫画を読んで少しでも自分を好きになるきっかけになってほしいな、と思うような作品です。なので多くの方に知ってもらいたいし読んでほしい。
はじまりからなかなか衝撃的な作品でした。
読み始めは疑問点もたくさんありましたが1巻を読み終えた頃にはとにかく続きが気になって仕方がなかったです…!思春期真っ盛りの中学3年間は人生に大きな影響を与えるのだと思わされました。すでに完結しているので一気読みがおすすめ。
巻数を重ねていくと、女装したくても身体の成長とともに難しくなっていく、これまでの自分でいられなくなってしまう、などコンプレックスも大きくなっていきます。それによってまたドラマが生まれたり。
ぜひ手にとって読んでみていただきたい作品です。
「ぼくらのへんたい」無料で読む方法
「ぼくらのへんたい」は、Amazonの読み放題(Amazon Kindle Unlimited )の30日間の無料体験を利用すればタダで5巻まで読むことができます。(2021年9月26日現在)
👉Amazon Kindle Unlimited 読み放題 30日間の無料体験はこちら
合わせて読みたいマンガ
「わたし、男子校出身です。」―著:中森ゴセン/原作:椿彩菜
DQⅩTVやゲーム系の公式生放送や麻雀で活躍されてるタレントの椿彩菜さんの半生をつづったエッセイのコミカライズ。
トランスジェンダーで学ランが苦痛、女の子として生きたいなどまさにまりかと同じ悩みや思いがさらにリアルに詰まった1冊です。
「スメルズ ライク グリーン スピリット」―永井三郎
女の子になりたい主人公をいじめていたグループのリーダーも、実は同じく女の子になりたいと悩んでいた、という一味違う切り口の漫画です。
「ぼくらのへんたい」のように秘密を共有し、友情を深めていく青春ストーリー。
「宇田川町で待っててよ。」―秀良子
接点のないクラスメイトに女装がバレたことから物語は始まります。
解決方法ではなくまずは「知る」ことに重きをおいた読みやすい内容となっています。