サラリーマンとJKの共依存「娘の友達」あらすじと感想（ネタバレ）

「社会」のために「自己」を殺す現代社会へ鋭く切り込む、禁断の年の差恋愛サスペンス―。

意味深でミステリアスな雰囲気の表紙とタイトルに惹かれる萩原あさ美さんの漫画、「娘の友達」をご紹介します。あらすじや感想を書くなかで、2巻までのネタバレを含むことをご容赦ください。

「娘の友達」あらすじ
「娘の友達」感想
「娘の友達」詳細
さいごに
- 「娘の友達」は完結済みなのでいっき読みがおすすめ！

「娘の友達」あらすじ

神経質な性格で、家庭や職場での緊張感から精神疲労気味のサラリーマンと、そんな彼を唯一甘やかしてくれる女子高生との恋愛を描くサスペンス漫画。

妻に先立たれ、娘は不登校。仕事も忙しい状況で、つねに完璧であろうとする市川晃介（いちかわこうすけ）は、無意識のうちにストレスを溜め疲れ切っていく。

そんなボロボロの状況から連れ出してくれたのが娘の同級生・古都（こと）だった。

ひとりで何でも我慢して抱え込みしんどかった晃介。しかし彼女と出会ったことで自分自身に素直になり、家族や仕事とも向き合えるようになっていく。

それもこれも彼女のおかげ、自分にはあの子が必要だ、と晃介はどんどん古都に依存していく。しかし、古都にも逃げ出したくなるような背景があり―。

ふたりの共依存的な危うい関係から目が離せない物語です。

「娘の友達」感想

精神疲労の描写がリアルで説得力あり

主人公は自分に厳しいタイプ。だから他人にも同じレベルで求めてしまい、期待通りにならずイライラしてしまうところが生きにくそうだなーと思った。

日常のほんの些細なことでも主人公にとってはストレスで、それが蓄積され追い込まれていく描写がとてもうまい。読んでいてこっちまでしんどくなるほど伝わってくる。

だからこそ、「全部疲れた」の言葉がズンと重い。頭の回転が早く仕事のできる人が思考停止するくらい疲れているんだな、と。

家庭環境も人間関係もうまくいかず、鬱病待ったなしと言っても過言ではない状況である。

そんな八方塞がりでしんどいとき、可愛い女の子に優しくされたら癒やされてしまうのもわかる気がする。

母性あふれるJKヒロインにドキドキ

ヒロインは女子高生だけど、とても大人っぽくて母性あふれる女の子である。

「よく頑張りましたね」と頭をなでてくれたり、「そんなに無理しなくていい」と甘やかしてくれるのだ。こんなに優しくされるとドキッとしてしまうのも無理ない。

大人になるといくら身を粉にして働いても、当然のことだと誰も褒めてくれない。なのに、大人な自分を甘やかしてくれる存在はありがたいが、主人公にとっては危険な罠でもある。

ここから逃げたい。すべてを投げ出したくなってしまったとき、そっと手を引いてくれる存在が彼女だ。どんなに疲れ果ててしまっても彼女なら癒やしてくれる。

そんな自分の甘えすら許してくれる女の子に誘惑されたら、ダメだとわかっていても抜け出せなくなるのも無理ないかも。

周囲にバレないかハラハラの展開

ヒロインは娘の同級生。そんな若い女の子と会っているのが同僚や娘にバレないか読んでいてハラハラする。

せっかく心に余裕ができてきたことで娘との関係も回復してきたのに、バレて疑われてしまったら台無しである。娘の心境としては、どんな理由があるにしても自分の同級生と父親が密会してるなんて嫌すぎる。

心優しい娘なので、この子にも傷ついてほしくない気持ちと、主人公とヒロインの共依存関係も理解できる気持ちがつねにぶつかり、読者も葛藤することに。

そんな背徳感とスリルのある展開がクセになります。

「娘の友達」詳細

作品名：娘の友達
作者名：萩原あさ美
出版社：講談社
掲載誌：コミックDAYS
発売日：2019年8月8日
既刊数：全7巻

さいごに

萩原あさ美さんの「娘の友達」をご紹介しました。

子持ちのお父さんが娘と同じ年のJKと関係を深めてく、なんて気持ち悪い‼と思う人もいるでしょう。実際に、作品プロモーションの際に批判的な声もあったそう。

だけど、この作品はセクシー路線ではなく、鬱病患者の多い現代社会の問題の例をめちゃくちゃわかりやすく描いたような漫画だなーと思いました。

主人公を甘やかし癒やしてくれる母性あふれるヒロインは、自分自身も母親から逃げたかった。いい子でいるのが疲れたのはヒロインも同じ。下心があるとすれば、この人ならいっしょに逃げてくれるんじゃないかという期待の部分だと思う。

ヒロインの私物が主人公のもとから見つかったことで、娘に関係を怪しまれるところで２巻は終わります。この先、娘とまた関係が悪化してしまうのか、ヒロインとどうなっていくのかが気になります。

娘の友達（１）

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