みなさまこんにちは!
マンガ大好きポンコツ主婦のはるちょこです。
今回は昭和初期を舞台に14歳の女の子・野中ハナが女中として働く日々を描いたお仕事漫画「うちのちいさな女中さん」の魅力について語っていきます。

「うちのちいさな女中さん」は長田佳奈さんの作品です。月刊コミックゼノンにて連載中。コミックスは2022年10月現在3巻まで発売されています。
あらすじと私が感じる作品の魅力をご紹介していきます!
「うちのちいさな女中さん」あらすじと概要
あらすじ
『女中』。かつては日本女性の一大職業であり、日常の中にその姿はありました。これは、そんな女中さん達が活躍した昭和初期を舞台に14歳の女の子・野中ハナが、翻訳家の蓮見令子の女中として働く日々を描いた物語。
(引用:コミックゼノン編集部)
概要
ざっくり言うと女中の女の子が住み込みで働くなかで、これまで知らなかったことや新しいものに触れ成長していくお話です。
最初こそ戸惑うも不器用な真面目さに心打たれ…

翻訳家として働く蓮見令子は多忙で家事をするのが困難なため、おじの紹介で住み込みの女中を雇います。そこでやってきたのが14歳の女中・ハナでした。
令子はハナの予想外の若さに戸惑いますが、その真面目で一生懸命だけど不器用なところに惹かれていきます。
そんな思わず見守りたくなるような可愛いハナちゃんと、包み込んでくれるようなおおらかさをもつ優しい令子の、共同生活を描いた心あたたまる物語です。
「うちのちいさな女中さん」解説
女中とは「雇われて家事の手伝いをする女性」のこと

現代日本で住み込みの家事使用人を雇ってるのは一部の富裕層くらいですが、昭和前期だと中流以上の家庭には女中さんがいることも珍しくありませんでした。
昭和が舞台の映画やドラマを観ていると、家族以外の女性がいっしょに住んでいるのを見かけたりしますよね。あれが住み込みの女中さんです。実はあの有名な作家・夏目漱石の小説にも女中さんがよく登場します。
それくらい女中は当時の家庭においては身近な存在であり、家事労働の重要な担い手でした。ちなみに炊事雑用が仕事内容の8割を占めています。この時代は西欧文化の浸透によって家事の難易度が上がったことも影響しているのかもしれません。
大正から昭和に流行った「文化住宅」

令子が住む家は「文化住宅」と呼ばれる洋風の生活様式をとりいれたもので、大正時代中期あたりから一般化してきた住宅です。この様式のおもな特徴は和風住宅の玄関脇に洋風の応接間がついていること。
完全な西洋館に住んでいたのはごく一部の金持ちでした。しかし民主化が進み、西洋文化に憧れた庶民たちが大衆化させたのがこの「文化住宅」と呼ばれる和洋折衷な建物です。
これまでの日本の台所作業は座ったりかがんだりしておこなうのが一般的でしたが、調理台・流し台などが一体化した洋風の炊事場が登場したことで現代のような立って料理するスタイルへと変わっていきました。
そんな未知のものであふれた令子との暮らしにハナも驚くばかり。そこにドラマが生まれ、昔の道具を見たことがない読者もハナちゃんと同じ目線で楽しめるのも本作のおもしろさのひとつといえます。
「うちのちいさな女中さん」魅力的なところ
とにかくハナちゃんの反応が可愛い!

女中のハナはとても無表情な女の子。
はじめて令子にあいさつしたときも本人は笑顔であいさつできたと手応えを感じていましたが、表情筋がちゃんと動いていないのか1ミリも令子に伝わりませんでした。
そんな彼女ですが、いろんな「はじめて」に対してしっかりと(無表情で)反応を示すところが可愛くてたまりません。
たとえば洋間を見たときのワクワク感、令子に歓迎されたときの喜び、乳バンドを得たいの知れないものだと疑問を抱くとき。
瞳孔が開く、眉間にシワを寄せる、頬を赤らめるなどの小さな変化にたくさんの感情が込められていて、読んでる側もそれを見逃すまいと思わずじっくり観察したくなります。
舞台やドラマの描き込みが美しい
長田さんの描かれる漫画はとても写実的。その美しさはまるで当時の暮らしを写真で見ているかのよう。自然に目で追いやすく構成されたコマ割りは読みやすく、複雑味のある情報が頭にスッと入ってきます。
これだけしっかりと描き込まれているのに、2巻まではアシスタントなしで長田さんおひとりで描かれていたと知り驚きました。
またセリフは少なめでキャラクターの表情や場の雰囲気に集中でき、今どんなことを考えているのかなど想像させる余地があるのも嬉しいですね。
この時代に生きた人たちの生活がみえてくる

たとえば着物を仕立て直すシーンではハナがたんたんと作業をこなしていく様子が描かれており、当時の女性は自分で服を仕立てられるようにひと通りの裁縫技術を身に着けていたことがわかります。
ただ糸をほどいて合わせ直すだけでなく、ノリをつけて板張りしてから細い竹の両端に針のついた棒でしっかりと張ってさらにノリを塗って…
既製品の服を買うのが当たり前の現代人からしてみれば気の遠くなるような作業ですが、当時はこれが当たり前だったことがよくわかります。
この漫画を読んでから映画やドラマで昔の料理や裁縫の光景を観ると、とくに説明がなくとも今どんな作業をしているのかわかるようになりました。
それくらい丁寧にハナの仕事ぶりが描かれています。
漫画の他にも各エピソードの終わりに「昭和豆コラム」が書かれていて、より当時の暮らしぶりがイメージできるので必見です!
「うちのちいさな女中さん」著者のエピソード
家庭科の先生の教員免許を持っている

長田さんは家政学部を卒業しており、家庭科教師の教員免許を取得されています。大学を出てから5年ほど福祉の仕事をしつつ、臨時で先生として家庭科の授業もしていたそうです。
そういった経験から人の暮らしに深く関心を持たれているのかもしれませんね。
また上京してからよく東京の資料館をまわり、古い道具や昔の人の暮らしの展示を見て当時の人の生活を想像するのも好きだそうで。女中さんのエピソードも「この道具を使ってるところを描きたい!」という気持ちから流れを作るそうです。
写真を撮るのが好きで収集している

長田さんは作画の際、ご自身が撮った写真をよく参考に描いているそうです。
建物を撮るときは漫画の背景にする場合のアングルを考慮したり、こういうのを描いてみたいと思ったものがあれば写真で記録しているとか。
日頃から構図を意識しているからこそ、漫画にもしっかりと活かされているのかもしれませんね。
作風は こうの史代 さんの影響を受けている
こうの史代さんといえば、一番有名な作品は「この世界の片隅に」でしょうか。
他にも「夕凪の街 桜の国」「長い道」など多くの著作があります。のんびり屋の主人公が壮絶な運命に翻弄されてるも力強く生きるストーリー展開が特徴的です。
長田さんは高校生の頃にこうの史代さんの漫画を読み、可愛い絵柄と衝撃的なお話のギャップに大きな衝撃を受けました。
特に「さんさん録」が一番好きな作品で、こういうお話を描きたいと憧れを持っているそうです。
絵は CLAMP さんの影響を受けた
子どもの頃は「カードキャプターさくら」など、CLAMPさんの絵をマネして描いていたため影響を受けています。特に小4の時に読んだ「東京BABYLON」にはかなり衝撃を受けたそうです。
ちなみにはじめて漫画だなと認識した作品は「小さな恋のものがたり(著・みつはしちかこ)」、はじめて買った漫画は「魔法陣グルグル(著・衛藤ヒロユキ)」だそうです。
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「うちのちいさな女中さん」作品紹介
作品詳細
- 作品名:うちのちいさな女中さん
- 作者名:長田佳奈
- 出版社:コアコミックス
- 掲載誌:月刊コミックゼノン
- 発売日:2021年8月21日
- 既刊数:既刊3巻(2022年10月17日現在)
今回は私の好きな漫画「うちのちいさな女中さん」の魅力について語ってきました。表紙書いしたのですが期待を裏切らない内容でした。
人に広めたくなるおすすめの1冊です!
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癒やされるし学べるしで良いとこづくしの「うちのちいさな女中さん」ですが、ひとつだけ残念な点があります。それは新刊があっという間に読み終わるので、次巻が待ち遠しくて困るところ。
そんな方は長田さんの短編集「つれづれ花譚」「こうふく画報」をあわせて読んでほしいです。女中さんロスを埋めてくれると思います。
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