青森の方言が可愛くて癒やされる漫画【じいさんばあさん若返る/新挑限】見どころ&試し読み
日本には、その地方独特の方言が存在します。標準語だとキツい印象の言葉でも、方言なら温かみがあって癒やされる、なんてこともあるんじゃないでしょうか。
今回ご紹介する漫画は、「女子の可愛い方言ランキング」で5位にランクインした「青森県」津軽地方が舞台のお話。作者さんが読者にもわかりやすいように噛み砕いてくれた津軽弁は、まさに青森の方言の入門書と言っても過言ではありません。
ぶっきらぼうだけど情が深いじいさんと、愛する夫を優しく支えるばあさん。ある日を境に若返ったふたりの日常を描く心温まるラブコメディです。
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あらすじ
青森の農村でりんご農家を営みながら余生を送っていた高齢夫婦の「正蔵」と「イネ」。
ある日を境にふたりは突然若返ってしまった。若い頃の姿になっても、普段と変わらず振る舞う夫婦の様子に、家族をはじめとする周りの人たちもすぐ慣れていく。
そしてふたりは、身体が衰えていた頃にはできなかったパワフルな日常を満喫するようになり―⁉
登場人物誰もが優しく、穏やかで癒やされる日常コメディ。
作品の見どころ
姿が変わっても変わらない夫婦の愛
正蔵とイネは50年以上連れ添ってきた夫婦なので、姿かたちが変わった程度で相手に対する思いやりの気持ちや愛情がブレることはなく説得力があります。
お互いのことはわざわざ声に出さずともわかるのですが、それゆえにいまさら言い出しづらく相手の出方をうかがう攻防が勃発することも……。最終的には正蔵がビシッとキメて通じ合い、幸せそうなふたりを見ているとなんだかほっこりした気持ちになります。
また、運動会の二人三脚では足を縛っているのが嘘かと思うくらいの全力疾走を見せて周囲を驚かせました。肩も腰も一切触れてすらいません。これも、正蔵がイネの歩幅を知り尽くしペースを合わせているからこそなせる技です‼
また、1巻の描き下ろしにはふたりが若返った要因となるエピソードが掲載されています。これを読めばこんなふたり若返ってでももっと長生きして欲しい‼と心の底から叫ばずにはいられなくなります。
知ってると面白さ倍増‼ふんだんに使われた青森の方言
青森の方言は「わたし→わ」「食べてください→け」のようにひとつひとつの言葉がとにかく短いのが特徴です。これは極寒かつ吹雪の中でコミュニケーションを取る際に、凍傷にならないよう口数を減らしたのが名残だとか。
ちなみに青森に遊びに行った時に現地の漁師をしている友達から聞いた話では、船の上でも同じく命がけなので短い言葉でのやり取りが当たり前だそうです。
青森の方言やイントネーションを知っているとセリフがどれも脳内で再生されるため、より一層夫婦の会話にリアリティが出て温かさや愛情が強く感じられます。
ケンミンSHOWを観ていると何言ってるかわからない方言として特集されていることがあるのでイントネーションがわかるかもしれません。さすがにあそこまで方言キツイと現地の若い人も何言ってるかわからなかったりするそうですが…!
作品情報
コミックス2巻発売時には記念として「ボイスコミック」が公開されました。三木眞一郎さんと能登麻美子さんによる青森弁での掛け合いは、アニメ化を期待せずにはいられません!
2021年時点でシリーズ累計発行部数は38万部を突破しています。
受賞歴
- 「ニコニコ漫画年間ランキング2020(ユーザーマンガ部門)」1位
合わせて読みたいマンガ
『ましろのおと』―羅川真里茂
津軽三味線がテーマの部活漫画で、主人公を中心に他にも津軽弁を話すキャラが多数登場します。特に「アニメ版:ましろのおと」は方言やイントネーションを聞くことができるのでオススメです!
『ねことじいちゃん』―ねこまき(ミューズワーク)
ばあさんに先立たれたじいちゃんのお話。亡き妻との回想シーンが随所に散りばめられていて、既婚者が読むといつかくる配偶者との死別を思い浮かべて思わず涙してしまいます。本来の夫婦の年齢を考えるといつ死別してもおかしくないので通ずるものがあります。
『パパと巨乳JKとゲーム実況』―糸吉了一
リストラされてしまった父が娘に誘われてゲーム実況者になるお話。父と娘の関係が回復していく様子がほっこりできる漫画ですが、そんなふたりを間で温かく結ぶ理解ある母の優しさがイネと重なります。個人的にお父さんが可愛いから読んでほしい作品です…!
まとめ
今回ご紹介したのは新挑限さんの漫画「じいさんばあさん若返る」でした。
2021年8月更新のダ・ヴィンチニュースに作者さんの「インタビュー記事」が掲載されました。
記事によると作者の新挑限さんは、おじいさんおばあさんが多い環境で、地方の過疎化や少子高齢化を身近に感じながら育ったそうです。青森に対する感謝や恩返しの気持ちで描かれた作品だからこそ、こんなに温かみを感じられるのかもしれません。
私も地方出身なのですが、正直そんなに地元に思い入れがありませんでした。でも、きっと自分の生まれ育った田舎にも、都会にはないような良さがあるんだろうな、と考えさせられました。
方言の文化もその地に生まれ育つ人がいなくなれば、一緒に消えていってしまうもの。日本の魅力を守るためにも、地方を活性化させられるといいですよね。
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