新劇場版と合わせて読みたい漫画【新世紀エヴァンゲリオン/貞本義行】感想
エヴァンゲリオンシリーズでキャラクターデザインを担当されている貞本義行さんの「新世紀エヴァンゲリオン」漫画版のあらすじと感想をご紹介します。
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あらすじ
西暦2015年、14歳の少年・碇シンジは10年以上前に彼を捨てた父・碇ゲンドウに突然呼び出され、謎の生命体・使徒に襲撃される第3新東京市で、それを殲滅する人型決戦兵器・エヴァンゲリオン初号機に乗り戦うよう命じられる。
シンジは父を憎みながらも反発心からエヴァに乗り、葛藤しながらも困難な戦いを乗り越えていく。パイロットに選ばれた「3人の少年少女」たちの戦いが、今、始まる―‼
感想 (※ネタバレあり)
アマプラで新劇場版を全部観たあとに読んだので、映画ではカットされていたり設定が変更された影響で語られなかったエピソードも多くありました。また、結末も大幅に違っていたため今読むと新鮮に感じます。
漫画版を知っていると絶望感が増す
特に漫画版のアスカと協力して第七使徒を倒すシーンを読んで知ってると「破」を観た時の絶望感が増します。
6日間同じホテルの部屋で寝て食事もダンスもともにし、最終日は監視カメラをぶっ壊して徹夜で練習に励み力を合わせて使徒に勝ったんだもの…!!
そこでやっと距離が縮まったアスカが、新劇場版では自分が搭乗する初号機にズタズタに食い散らかされてエントリープラグを噛み壊されるだなんて。
漫画版ではシンジが意外とつっこみキャラ
新劇場版のシンジは物分りがよく半ば諦めから「はい」と返事するシーンが多いのですが、漫画版では感情的でツッコミキャラなのも見どころです。あと、ゲンドウは漫画版だとさらに何を考えているのかわかりません。新劇場版ではかなり彼の考えを理解できるよう再構築されたことがうかがえます。
こういった違いを知ることで、よりエヴァの世界を楽しめます。
漫画版は映画のシーンを感慨深いものに変える
映画のワンシーンを感慨深いものに変える、それが漫画版の一番の魅力だと私は思います。そう感じたのはシン・エヴァでトウジが委員長と結婚し家庭を築いていたのを観た時でした。
「序」でのトウジ、シンジが転校してきた初日にいきなり殴り飛ばしてくる奴でしかなく、シン・エヴァを観た時は「このふたりくっついたんだー」くらいにしか思っていませんでした。
その実、トウジの妹がどれほどの怪我を負ったのか、殴ったのはシンジの言葉に腹が立ち、殴ればいいよと煽られ実行してしまったことなど、映画では端折られてしまったトウジのストーリーがマンガでは描かれています。
フォースチルドレンとして妹のためにエヴァに乗り帰らぬ人となったトウジ。トウジにお弁当を渡せないまま二度と会えなくなってしまった委員長。そして、委員長に会わす顔がないと学校から離れていくシンジ。
強烈な「別れ」を描いた漫画版に対し、シン・エヴァでは崩壊した世界でもともに生きるふたりの姿があって、そんな彼らを中心に希望を持って生きるたくましい村人たちがいて……。漫画を読んで映画を思い出し思わず涙が出ました。
「このふたりくっついたんだー」とか言ってた自分を殴りたい!!
合わせて読みたいマンガ
『なるたる』―鬼頭莫宏
竜の子に選ばれた子どもたちが世界の存続と破壊をかけて戦うお話。戦闘機などSF要素も満載。可愛い絵柄に似つかわしくないくらい殺伐とした世界観でキャラが惨たらしく死んでいく超鬱展開が魅力。そんな争いに巻き込まれながらも実はそれが運命だったところがシンジの境遇に似ています。
『魔法少女まどか☆マギカ』―原作:Magica Quartet/作画:ハノカゲ
『シン・エヴァ』を観ているとまた読みたくなったのがこちら。自らの命と引き換えに願いを叶え戦う少女たちの過酷な物語。何度も繰り返される世界と再生の物語。救えなかったものもあるけど、救えたものもたくさんあってこれはこれでひとつのハッピーエンドだな、と。
『最終兵器彼女』―高橋しん
ただのドジな女の子が兵器に改造され、だんだん人の心を失っていく様子が彼氏の目線から描かれた残酷な恋愛作品。マンガ、アニメ、映画ともに違った結末が描かれているので『エヴァンゲリオン』と同じくさまざまな世界線を楽しめるのも魅力です。
まとめ
全14巻で、すでに完結済み。「月刊少年エース」にて1995年12月に連載開始。2009年3月に新たに創刊される同社の「ヤングエース」へ移籍され2013年7月に完結しました。
また映画の話になってしまうのですが、「シン・エヴァ」を観た時、「序・破・Q」とまったく別の話じゃないかと感じました。まるで「過去作のエヴァンゲリオンの流れを知っている人」を想定して制作されているかのような。
相違点や設定が変わってもブレないキャラの根底にある信念を見つけるのも、メディアミックス作品ならではの楽しみ方だと私は思います。
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