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アイドルと心中する漫画【少年のアビス/峰浪りょう】見どころ&試し読み

人は望まずとも生まれた時に、家族や地域といったコミュニティに属することになります。そしてその枠組はちょっとやそっとでは抜け出すことのできるものではありません。

今回ご紹介する漫画は、人間関係に縛られ人生を諦めていた少年が死ぬ理由を見つけたことでどんどん堕落していくお話です。

主人公の心の闇を見ることで、自分自身の闇もまた見えてくるかもしれません。

少年のアビス 1(ヤングジャンプコミックスDIGITAL)



 

 

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あらすじ

黒瀬令児は、地方の町で看護助手の母、引きこもりの兄、認知症の祖母と暮らすアイドル好きの男子高校生である。

この閉鎖的でなにもない町を出たいと心底願うも、母親に楽をさせなければという義務感で大学への進学を諦め、自分が町に縛られていることを理解しながら漠然と日々を過ごしていた。

しかし、ある時令児は自分が推しているアイドルグループ「アクリル」のメンバー・青江ナギと知り合う。

ナギの頼みで町を案内する令児。そして、彼女は令児の身の上話を聞いたうえで町の自殺の名所である「情死ヶ淵」を話題に出し、「私たちも今から心中しようか」と持ちかけるのであった。

生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。“今”を映し出すワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール、開幕――。

 

作品の見どころ 

思わず共感するリアルな人間関係

主人公の令児が暮らすのはほどよい田舎町。商店街はシャッター街、国道沿いには大きな駐車場を持つ店舗が立ち並び、土建屋が権力を持ち地元の人たちはどこか排他的、そんなどこにでもあるような場所です。

兄は引きこもり、祖母は認知症、母親はそんなふたりの世話と仕事に追われ疲れ切り、家庭環境は最悪。生きているだけでどんどん「借り」が増え、進路も勝手に決められる始末。

母親にとって令児は労働力でしかなく、少しでも早く自分を楽にしてほしいと思っています。不満はあるものの母親のためにと我慢する令児。

このネガティブが連鎖するような関係は、なにも漫画の中だけではありません。現実社会でも同じように自分を押し殺して生きている人も少なくないでしょう。そういった情景にリアルさを感じます。

どんどん引き込まれる衝撃的展開

お話の流れがとてもドラマチックなのもこの作品の魅力です。

アイドルのナギがこんな地方の町にいること、そんな異質の存在と出会い深い関係になっていくこと、そして心中しようとすることなど、どんどん新しい衝撃が加わり飽きません。

また、ここぞという場面で大きく見開きが使われたり、絵の見せ方もよく考えられていて一度読めば記憶に残るくらいインパクトがあります。

生と死に意味を持たせる言葉と演出

特に印象的だったのが第1話のラスト。令児がナギからタバコの火を移してもらうシーンです。まるでナギに呼吸の仕方を教わるかのような演出と、令児の「僕の死(いのち)が始まる」というセリフがとても意味深い。

ナギと出会ったことでやっと令児の人生が始まったと言えます。

そして始まりと同じく、終わりもナギによって提案されます。心中しよう、と。それに対して令児は生まれて初めて優しい言葉をもらえたのだと喜ぶのです。その言葉を聞くために生きてきて良かったとさえ思うほどに。

このふたつから、令児が自分の人生に意味を持たせ死んでも良い理由にしようと考えていると想像できます。

読んでいて不思議に思ったのが、彼が「死ぬ理由」にこだわるところでした。死んでしまえば関係のないことなのにこれだけ意味を求めているということは、ただ死にたいわけではないのかもしれない。

本当に欲しいのは「煩わしいしがらみから開放されること」。だけど投げやりになり「お前たちのせいで自分は死ぬんだからな」と後悔させたいようにも思えます。

生と死についてここまで考察できる作品も多くありません。つい語りたくなってしまうくらいなにか神秘的なものを感じるところが最大の魅力なのかもしれません。

作品情報

受賞歴

 

合わせて読みたいマンガ

『溺れる花火』―峰浪りょう

溺れる花火 1巻「少年のアビス」と同じ作家さんの過去作品です。

欲望が理性や常識を狂わせていく人間の心の闇を描いた作品。最後まで予想できないストーリー展開がとても魅力的。少年のアビスの作風が気に入った方にはぜひオススメしたい1冊です。

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『血の轍』―押見修造

血の轍 7巻言葉だけではなく絵で歪さや不気味さをリアルに表現しているという共通点からオススメしたい1冊。

アニメ化もされた「惡の華」の作者さんの作品です。狂気的なお母さんから目が離せずどんどん引き込まれてしまう魅力があります。

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クズの本懐』―横槍メンゴ

クズの本懐 4巻

思春期のドロドロとした複雑な感情と欲望の葛藤という共通点からオススメしたい1冊です。

【推しの子】の作画をされている作者さんの作品。すれ違う愛情が互いを傷つけあい胸が苦しくなるような展開が魅力的です。

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まとめ

今回ご紹介したのは峰浪りょうさんの漫画「少年のアビス」でした。


地元から出たことがない若者が新しい人生を始めるのはそう難しくもありません。ただその町から出ていけばいいのだから。

だけど、そうできないのは残された家族のことを考えてしまう優しい心を持っているから。本当にどうでもよければ疎遠になっても気にしないでしょうし。

この物語の主人公も、したくもない祖母の世話を手伝ったり苦手な幼なじみの工場で働く約束をするのは母親に楽をさせたいから。自分のしたいことを諦めているのは流されて生きた方が楽だから。そして、それは母親もきっと同じなのでしょう。

今回のレビューは主に1巻の内容のみで書きましたが、巻を追うごとにさらに多数のキャラの心の闇が見え、絡み合い傷つけ合っていき、その複雑味が面白さとなっているのでぜひ最新巻まで読んでいただきたい……!


人の心を丸裸にするような魅惑の1冊です。

 

 

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